公立高校入試の分析セミナーより感じたこと

こんにちは、個別指導エクセルシア茅ヶ崎校の宮崎です。

先日、神奈川県公立高校入試のセミナーに参加し、今後の授業に役立てそうな内容をゲットしてまいりました。

本日はそれを踏まえた高校入試に関する、個人的な予想のお話です。

 

読解力!読解力!読解力!

最近は大学受験向けの勉強会や、タイトルのような高校入試セミナーに参加することが多いんですが、その中で必ず出てくるワードが「読解力」です。

というか、読解力が大事!以外のワードはほぼ出てきません…という表現では語弊がありますが、それぐらい読解力は大事です。

読解力って何ぞや、というとハナシがややこしくなるので上手く書けないんですが、いくつかの要素から構成される「文章を読み解く力」なのではないでしょうか。そのまんまやんけ…。

 

例えば、村上春樹さんの作品「羊をめぐる冒険」の中に以下のような一節があります。

 

彼は真白な画用紙を眺める時のような目つきで僕の顔を眺めた。

 

この文中の、真白な画用紙を眺める時のような目つきって、一体どういう目つきなんだろう?どういう気持ち・心情なんだろう?ということをしっかり把握できるかどうか。

抽象的な言葉の中に隠された本当の意味を、受け止められるかどうか。

これは読解力を構成する「ツッコミ」という要素なのではないかと、個人的には思っています。

 

国語だけではなく数学でも読解力は必要ですね。例えばこういった文章なんかも。

 

定価500円の本が30%引きで販売されていた。1000円札で支払うときのお釣りを求めなさい。

 

という問題で、答えを150円とか350円とか1500円とか書いてしまったり。

150円と答えた人は値引きされている金額を解答としてしまっているのかな。

350円と答えた人は値引き後の売価を解答としてしまっていますね。

1500円と答えた人はとりあえず目の前の数字を掛けてようとして、ひとまず3倍してみました感が伝わってきます。お釣りの方が多い…。

まぁ1500円という解答は割合の単元のハナシゆえに脱線してしまうので置いておくとして、150円や350円と答えてしまう人は注意が必要なのではないかと思います。

 

問題文をキチンと読めば…おっと、もう少し噛み砕いてお伝えすると、キチンと、というのはイコール気持ちを落ち着けて、単語の意味を確認し、前後の文脈を踏まえて、読む・理解に努める、という作業ですね。

キチンと読みさえすれば、そんなに難しくはないはずです。

この問題での「1000円札で支払うときのお釣りを求めなさい。」という一文が読めてないせいで不正解になってしまう人は、気持ちを落ち着かせて集中さえすれば絶対に間違わないのではないでしょうか。(さすがにこの一文では、言葉の意味や前後の文脈は大丈夫でしょう)

 

え?こんな問題はさすがに間違えないって?

なるほど、わかりました。それでは以下の問題はどうでしょうか。

 

80円のみかんと140円のりんごを合わせて11個買い、2000円出したところ、お釣りが880円であった。また、買ったりんごのうち、5割が傷んでいたので返品をしてもらい、返してもらった金額でみかんを再度買えるだけ買った。最終的に手元に残っている金額はいくらか求めなさい。

 

同じ単元(割合)の問題なんですが、文章が長くなっただけで難易度が上がってしまうように見えるんですよね。買ったりんごが痛みすぎなのは気にしないでください。

実際には①りんごの個数を求める②返金額を求める③その金額でみかんを最大まで購入する④そのお釣りに最初のお釣りを加算する、という4つの手順が存在するわけですが、情報量の多さに戸惑ってしまい、どこから手を付ければ良いかわからないケースがそこそこ見受けられます。

レベル感としては中学1年生の問題(1次方程式)ですが、読解力があれば小学5年生の子でも解くことは可能ですし、逆に読解力がなければ中学3年生でも間違えます。

読解力を構成する一つの要素に「読解体力(読み続けられる力)」があるような気がするんですが、この問題ではまさに読み続けられるのかがキモになっているのではないかと思います。作業自体は四則演算だけですからね。

 

程度の差こそあれ、このような読み解く力の鍛錬を積まないといけないな、というのが私が勉強会に参加した感想です。

当然、読解力は語彙力があってこそ発揮できる力なので、語彙力(言葉)も鍛えないといけませんね。

 

変化する大学入試

2020年の大学入試改革がなぜ行われるのかは長くなるので割愛しますが、著名な先生方が仰るには「企業からのオファー」だそうです。

企業の新卒採用時に、企業側が大学生に最も求めているものは何かというと圧倒的に多いのが「積極性」「コミュニケーション能力」。しかも数年間ずっと変わらず。

現在以上に、今後はもっとそういった人物を採用したいという企業側の考えが背景にあるそう。

そこで企業から文部科学省に、文部科学省から大学にという流れで、知識を問われる従来のセンター試験から、根本理解・課題解決力・自分で考える力・判断力などが問われる大学入試共通テストに移行するとなった経緯があるそうです。

 

以下は私の想像ですが、大学入試が変わるということは今後、高校入試や中学入試も多少なりとも変わるのではないかと予想しています。

事実、神奈川県の公立高校入試では数年前から社会や理科でも「読ませる問題」を中心に資料問題が多くなっており、東京都では今後英語でスピーキングテストも実施されます。

もう少し踏み込んだお話をすると、理科は2年前まで知識を問われる問題が全体の5割、情報を読み取って解く問題が2割、持っている知識と書いてある情報から考える問題が3割でした。

しかし昨年と今年は知識問題が3割、情報を読み取る問題が1割、知識と情報から考える問題が6割と、問題の質にも変化が起きていると考えています。(数字は全て概算)

社会も、生きた知識や推理・推論の力を問われる問題が増えてきているといった点を考慮すると、教科に関わらず「問題を正しく読む力」「内容を正確に把握する力」が必要になるのではないでしょうか。

 

いずれにせよ大学入試が「表現する力」や「自分なりの意見・考え方とその理由」を意識してくるということは、高校入試でもそれに近い能力が求められるようになるのではないかというのが私の考えです。

もちろん来年すぐに変わるかというと、そんなことはないとも思いますが、いつどのタイミングで変更があっても臨機応変に対応できるようにしておきたいですね。

 

それではまた次回! お読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

miyazakiのアバター miyazaki 塾長/教育アドバイザー

神奈川県茅ヶ崎市でエクセルシアという個別指導塾を運営しています。「茅ヶ崎で勉強No.1」を目指し、日々奮闘中。生徒・講師の先生たちと話すことはもちろん、読書やゲームも好きです。

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